マンションの区分所有者は、管理組合に対して管理費の支払いを行う必要があります。
区分所有者が管理費の滞納をしている場合には、当然に支払い義務が残っており、同人に対して管理費の支払いの催促が行われます。
もっとも、管理費を滞納したまま区分所有者が死亡した場合に、管理組合としてはどうすればよいのでしょうか。
このページでは、マンションの管理費を滞納中に区分所有者が死亡した場合にどうすればよいのかご紹介します。
マンション管理費滞納中に区分所有者が死亡した場合
人が死亡した場合(死亡した人のことを「被相続人」といいます)には、被相続人が死亡した時点で有していた一切の権利義務が、相続人に包括的に承継されます。
誰が相続人となるかは、遺言がない限りは法定相続人、すなわち、民法に規定されており、配偶者、子などがこれにあたります。
一切の権利義務とあるように、被相続人が区分所有者であり、同人が管理費等の支払いを滞納している場合には、当然同人の管理費支払い義務は、相続人に承継されます。
そのため、管理組合の理事長は、まず区分所有者であった者の包括承継人に対して管理費の支払いを催告することになります。
これに対して包括承継人たる相続人が全額の支払いをしてくれれば良いものの、支払いがない場合には、以下のような対応を採ることになります。
もっとも、管理組合が相続人、すなわち家族構成を把握していない場合には相続人を確認する必要があります。
そのためには、区分所有者であった者の戸籍謄本を取得して家族構成を把握することとなります。
弁護士に相談をして依頼することで、戸籍をとることができます。
法定相続人がわかれば、住民票や戸籍の附票をも取得して、相続人の住所を確定する必要があります。
これも弁護士が行うことができます。
なお、遺言があり、他に相続人がいる場合には、法的にはそのものに対して請求をする必要がありますが、遺言の有無が不明な時点では法定相続人に請求せざるをえません。
また、相続放棄が行われた場合、相続人は、被相続人の死亡時点にさかのぼって相続人たる地位を失います。
そのため、相続人が相続放棄をしていた場合には、同人以外の相続人に請求することになります。
すなわち、相続放棄があった場合には、他の相続人の相続分が増えたり、後順位相続人が相続人になったりします。
相続放棄があるかどうかは家庭裁判所に紹介しても確認することができます。
債権者は利害関係人として照会することができます。
同様に相続人は限定承認を行うこともでき、限定承認があると、相続財産管理人が、遺産の範囲内でのみ債務の履行を行います。
そのため、管理組合は、相続財産管理人に対して債権の届出をして、滞納管理費の支払いを求めることになります。
いずれにせよ、支払いが任意になされない場合には、法的手段を視野に入れて催告を行うことになります。
訴訟になると、証拠によって事実を立証する必要があり、支払いを求めたことを残すために、内容証明郵便などを用いて催告することが求められます。
管理組合に関することは浦和法律事務所までご相談ください
以上のように、管理組合に管理費の支払いが行われていない状態で、区分所有者が死亡した場合には、相続人に対して請求を行う必要があります。
しかし、誰が相続人なのか、同人は相続放棄や限定承認をしていないのかなどを調べる方法や、相続人が確定した後の請求の方法など、法律の専門家である弁護士に相談することで明快になる事項も少なくありません。
不明な点がある場合には、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士 河原﨑 友太(浦和法律事務所)では、管理費・修繕積立金滞納問題に関するご相談を承っております。
管理費を滞納している住民がいて困っている管理組合の方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にご相談ください。