マンションの区分所有者は、管理組合に対して管理費の支払いを行う必要があります。
そして、ここでは権利義務関係が発生しているため、組合(厳密にいえば代表理事)に対して、区分所有者は管理費の支払い債務を負っています。
これを滞納することは法的には債務不履行であり、契約違反となります。
滞納管理費について、すぐに法的措置を採ることは少なく、まずは穏当な手段である催告や任意の交渉を行います。
それでも支払いをしない区分所有者に対しては訴訟の提起を考える必要があり、訴訟に移行すると、権利関係が確定し、強制執行が可能となります。
このページでは、滞納管理費の訴訟提起をしても応じない区分所有者への対処法についてご紹介します。
訴訟提起をしても応じない区分所有者への対処法
ここでは、訴訟を提起して、権利関係が確定したのに任意に支払いをしない場合の対処法についてご紹介します。
訴訟においては、裁判所が権利を確定するものの、任意に支払いがない場合には、強制執行という手続きを行う必要があります(このような手間を省くためには、和解の期日などで、現実に現金を持ってきてもらったり、入金が確認されてから和解を行うという方法があります)。
金銭の支払いを目的とする債権の強制執行に際しては、債務者、すなわち区分所有者が有している財産を差し押さえて、換価するという流れとなります。
差押えの対象となるのは、区分所有者が滞納している管理費の額や、区分所有者が有している財産の種類にもよりますが、額がそれほど大きいものではないことが予想されるため、仮に区分所有者がほかに不動産を有していたとしても、預金債権などを差し押さえることが一般的です。
なお、区分所有者がどのような財産を有しているか不明な場合には、民事執行法上、債務者や、そのほかの第三者(登記所や金融機関、市区町村)に対して、財産の状況を開示することを求めることができます。
そのうえで、差し押さえを行うことになります。
手続としては、以下のような手順を踏むこととなります。
- ① 執行文の付与
- 債務名義である確定判決に対して行う執行文の付与は、確定判決を取得した裁判所の裁判所書記官が付与します。
- ② 強制執行の申立て
- 執行文の付与を受けた後、裁判所に対して強制執行の申立てを行います。
申立てに必要な書類の書式は裁判所のホームページに掲載されています。 - ③ 裁判所による差押え
- 裁判所によって、不動産、動産、あるいは債権の差押えが行われます。
- ④ 裁判所による換価
- 差押えを受けた財産を現金化して、債務に充足します。
もっとも、差押えを受けた時点で、任意に債務の支払いをしてくることもあります。
不要な時間や費用をかけないためにも、法的に強制執行の手続きに移ることを債務者に通知して、任意に支払いを求めることが考えられます。
管理組合に関してお困りの方は浦和法律事務所までご相談ください
以上のように、滞納管理費の支払いを行わない区分所有者に対して訴訟を提起してもなお支払いがない場合には、強制執行を行うことが考えられます。
強制執行の手続きに移ることを相手方に通知して任意に支払いを受けることがまずは肝要ですが、訴訟になっても支払いをしない相手は任意に支払いをしないケースもあるでしょう。
それでも、法律の専門家である弁護士が手続きに関与し、書面を作成することで、相手の態度が軟化して、支払いを促すことが期待できます。
弁護士 河原﨑 友太(浦和法律事務所)では、管理費・修繕積立金滞納問題に関するご相談を承っております。
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